テキスタイルデザイナー須藤玲子と、須藤が率いるNUNOの活動を包括的に紹介する大規模個展『須藤玲子:NUNOの布づくり』が、2024年2月17日(土)より須藤とゆかりのある茨城県の水戸芸術館現代美術ギャラリーにて開催されます。須藤は日本の伝統的な染織技術と現代の先端技術を組み合わせ、従来にない素材をテキスタイルに取り入れるなど、常にその革新的な布づくりでテキスタイルの世界の第一線を走り続けてきました。本展では須藤が日本各地の職人・工場と協働で取り組んできた布づくりについて、普段は見ることのできないその舞台裏を、豊富な資料や齋藤精一(パノラマティクス主宰)のアーティスティック・ディレクションによるマルチメディア・インスタレーションで展観します。
本展は2019年に香港のCHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)で企画・開催され、その後イングランド、スコットランド、スイス巡回を経て、国内では丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に続き、このたび開催されるものです。水戸では新たに水戸藩ゆかりの「水戸黒」を用いた「こいのぼり」、磯崎新設計による美術館を象徴するタワー建築をモチーフとした新作テキスタイルも登場します。
撮影:林雅之
須藤玲子(すどうれいこ)
1953年茨城県石岡市生まれ。株式会社布代表。東京造形大学名誉教授。日本の伝統的な染織技術から現代の最先端技術を駆使し、新しいテキスタイルづくりをおこなう。作品はニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ロサンゼルスカウンティ美術館、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、東京国立近代美術館など、世界の名だたるミュージアムに収蔵されている。2022年第11回円空大賞受賞。
‖ 展示のみどころ ‖
1.テキスタイルデザイナー須藤玲子とNUNOの布づくりを包括的に伝える大規模個展
1983年にテキスタイルデザイン・スタジオNUNOの設立に参加した須藤は、以来約40年間デザインディレクターとして 創造性と実用性に富んだテキスタイルを生み出してきましたが、その作品はニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館など世界の名だたる美術館・博物館に収蔵され、国内外で高く評価されています。
本展では須藤の代表作を通してその創作の姿勢を伝えるとともに、NUNOのテキスタイルを世に送り出してきた日本各地の工場にも焦点を当て、「布づくり」を支える創造的かつ技術的なプロセスを包括的に紹介します。
2.NUNOの布が「出来るまで」 舞台裏を大公開
完成したテキスタイルに留まらず、デザインの源泉や制作過程からテキスタイルデザインに注目する画期的な展覧会です。テキスタイルの生産工程や開発プロセスを豊富な資料で詳らかにし、NUNOのテキスタイルデザインの全貌に迫ります。アイデアの着想源から原材料やドローイング、製作サンプル、協働する工場や職人との試行錯誤や生産の過程まで、普段見ることのできない布づくりの舞台裏を一挙公開します。齋藤精一のアーティスティック・ディレクションによる、工場での生産の様子を再現したインスタレーションは、「布づくり」のプロセスをハイライトし、臨場感をもって伝えます。
3.館内を自由に泳ぎ回る「こいのぼり」
大空間を泳ぐ、色とりどりのNUNOオリジナルテキスタイルを用いたインスタレーション「こいのぼり」。同作は、自らの創作を支え、後押ししてきた日本の染織技術の素晴らしさを多くの人に届けるかたちとして須藤によって考案され、アドリアン・ガルデールの展示デザインにより、東京の国立新美術館(2018年)をはじめ世界各地で人々を魅了してきました。今展に向けては、水戸藩に由来する染色技法「水戸黒」の再生に取り組む水戸市内の職人とともに、特別なこいのぼりの制作にも取り組んでいます。制作協力:大谷屋染工場
水戸黒とは:江戸初期、寛文年間から水戸藩に伝わる染色技法。藍の下地にヤシャブシで黒く染める「水戸黒」は、青みがかった独特の深みのある色合いが特徴的です。大正に入り化学染料の普及によってその継承が途絶えていましたが、1970年代以降、地元の人々の手によってその再現と継承が取り組まれています。
4.磯崎新設計のシンボルタワーがテキスタイルに
水戸の街で特別な存在感を放つ磯崎新設計による美術館のシンボルタワー。今展では、須藤が磯崎へのオマージュとして、このタワーをモチーフにデザインした新作テキスタイルを初公開します。
‖展覧会概要‖
展覧会名: 須藤玲子:NUNO の布づくり
会 期: 2024 年 2 月 17 日(土)~ 5 月 6 日(月・振休)
開場時間: 10:00~18:00(入場は 17:30 まで)
会 場: 水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場(茨城県水戸市五軒町1-6-8)
お問合せ: Tel. 029-227-8111 https://www.arttowermito.or.jp
主催: 公益財団法人水戸市芸術振興財団
企画協力: CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)Hong Kong、Japan House London
後援: 株式会社アダストリア
協賛: 木内酒造株式会社 協力: サントリーホールディングス株式会社 企画: 高橋瑞木(CHAT 館長兼チーフキュレーター) 会場構成: たしろまさふみ アーティスティック・ディレクション: 齋藤精一(パノラマティクス主宰)企画担当: 後藤桜子(水戸芸術館現代美術センター学芸員)