芭蕉布 人間国宝・平良敏子と
喜如嘉の手仕事
BASHOFU LIVING NATIONAL TREASURE TOSHIKO TAIRA AND KIJOKA ARTISANSHIP
「芭蕉布」は、亜熱帯に分布する植物「糸芭蕉」の葉柄からとれる天然繊維を材料とした沖縄を代表する織物。第二次世界大戦後に消滅しかけた芭蕉布を、生まれ育った大宜味村喜如嘉 (おおぎみそん きじょか) で、糸芭蕉の畑を自ら復活させ、工房を作り、現代へと繋いだ人間国宝・平良敏子(たいらとしこ)。
芭蕉布の伝統技法は、3年ほどかけて糸芭蕉を育てることから、収穫後の糸づくり、染め、織りまで膨大な時間をかけ、30近い工程を経て完成する。この貴重な芭蕉布は、喜如嘉の女性たちによって、今も大切に受け継がれている。
本展は、民藝運動の主唱者・柳宗悦に「今時こんな美しい布はめったにないのです。いつ見てもこの布ばかりは本物です。」と言わしめた芭蕉布の着物、帯地、裂地など約70点を展示。
糸が織りなす透けるような風合い、古くから伝わる琉球藍や車輪梅の力強い色彩、バラエティに富んだ絣柄の世界など、沖縄の伝統文化である美しい手仕事の魅力を伝える。
【平良敏子】
1921年2月 沖縄県大宜味村喜如嘉に生まれる
1946年1月 岡山県倉敷市にて外村吉之介に師事
1963年8月 喜如嘉に本格的な芭蕉布織物工房を開く
1972年5月 県指定無形文化財 芭蕉布の保持者に認定
1974年4月 「喜如嘉の芭蕉布保存会」の代表となる
「喜如嘉の芭蕉布」が重要無形文化財に指定
2000年5月 重要無形文化財保持者( 人間国宝)に認定
2021年2月 百寿を迎え、なおも芭蕉布の制作や後継者の育成に努める
2022年9月 逝去
煮綛(ニーガシー)芭蕉布 琉装着物「黄地 絽織 経縞」
平成16年/喜如嘉の芭蕉布保存会
※地機(じばた)で絽織に挑戦。
芭蕉布 裂地 「小鳥」 平成/芭蕉布織物工房
※平良敏子が考案したツバメ柄。バーナード・リーチが
「このツバメはまるで翔んでいるようだ」と感心した。
煮綛(ニーガシー)芭蕉布 琉装着物「朱地 綾中 ]
平成/芭蕉布織物工房
※杢糸をふんだんに使用した縞。
【主な作業工程】
芭蕉には、実芭蕉・花芭蕉・糸芭蕉があり、芭蕉布の使う原木は糸芭蕉。
野生の糸芭蕉は繊維が固いので、喜如嘉では今は全て栽培されたものが使われる。
糸芭蕉は2~3年で成熟するが、繊維をやわらかくするために年3~4回、
5月~10月の間に葉打ち・芯止めをする。
糸芭蕉の栽培 → 苧(ウー)倒し → 苧(ウー)剥ぎ → 苧(ウー)炊き →
水洗い → 苧(ウー)引き → 乾燥 → チング巻き → 苧(ウー)績み →
菅巻き → 撚りかけ → 整経 → 煮綛 → 絣結び → 染色 →
機ごしらえ → 織り → 洗濯 → 乾燥 → 引きのばし → 乾燥
写真:喜如嘉芭蕉布事業協同組合
【開催概要】
●タイトル:芭蕉布 人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事
BASHOFU LIVING NATIONAL TREASURE TOSHIKO TAIRA AND KIJOKA ARTISANSHIP
●会 期:2023年9 月9日(土)~ 10月29日(日)会期中無休
●会 場:美術館「えき」KYOTO
〇主 催:美術館「えき」KYOTO、京都新聞
〇特別協力:芭蕉布織物工房、喜如嘉の芭蕉布保存会、大宜味村
〇協 力:公益財団法人 大倉文化財団 大倉集古館、京都沖縄県人会、太田はるの
〇企 画:株式会社オフィスイーヨー
〇企画協力:株式会社東京画廊
〇写 真:比嘉厚(つは写真館)、鍋島徳恭(家庭画報)
<広報のお問合せ>
株式会社ジェイアール西日本伊勢丹 美術館「えき」KYOTO
担当:鳴海 narumi_chihiro@wjr-isetan.co.jp
TEL:075-344-0798 FAX:075-342-5710